(c) マーケティングのツール(ML&NL)
MLやNLはデータ・ベース・マーケティング(以下DBM)やサイバー・マーケティングのツールとして有効な手段である。
MLやNLをマーケティングツールとして活用するには幾つかの方法がある。
自社で開いているMLやNLはマーケティング・マネジャーやセールス・マネジャーと各支社の社員が何度も出張して話し合わなければならないような大きな問題点の解決にも役立てることが出来る。MLシステムやNLシステムは、支社や営業地区に送られるべき情報を瞬時にして且全員に配信できるからである。各地の営業マンが本社を始め全員に訪問リポートや最新市場情報を配信する手段としても使うことも出来る。
また、各地の営業担当者が契約や注文についての最新情報を入手したい場合など、NL上にテンプレートを送信して営業担当はそれに記入し完成させるという方法を採ることもできる。
セールスのきっかけとなる情報を各地区と各営業担当者に正確に且、速く与えたい場合などもMLやNLにアップするとより効果的でしかも簡便である。
ポテンシャル・カスタマーや既存の顧客に有益な情報へのアクセスをする場合もNLは有効手段となる。またユーザー同士の趣味について自由に話し合えるMLの提供も有用である。
例えば、金融サービスの会社であれば、投資に関する情報やオンラインの金融業界用語辞典などが掲げられる。またユーザーが株式や證券などについて質問をし、営業担当者や他のユーザーから答えを受けられることもできる。
この情報を無料で提供すれば、潜在的な顧客に誠意と信頼性を示すことになり、自社の業績にも貢献することになる。
メリット:
コストを節約し、予算を効果的に使うようにすることが出来る
時間を節約し、マーケティング・プロセスから幾つかのステップをカットすることが出来る
ユーザーに購入プロセスのコントロールをさせつつ、代替的購入法を与えられる
情報量が豊富でインタラクティブ性を持つことが出来る
ボーダレス(クロスボーダー)である
参入の障壁を低くし、誰にも平等にアクセスできる
時間を問わず利用できる
(d) データ(アンケート・サンプリング)の収集(ML)
自社製品に関連するMLに参加することにより様々な意見や感想若しくは声というものを聞く事が出来、それらをカテゴリー別に分類してデータ収集並びに解析を行うことが可能となる。
MLを自社内で開設する場合は、必要に応じてアンケートを行うことも可能で有効なデータサンプリングを統計化することにより、潜在的な顧客の興味を把握することが出来、プロダクトマネジメントの次へのステップへの礎となりえる。
(e) リサーチの媒体として(ML)
ある市場についての情報を集めようとするとき、それが目的で作られているMLがあれば、それが最適な情報源になり得る。もしドッグフードの開発者がMLを作っていたとすれば、その中には犬の愛好者が集まっていて情報交換をしているはずである。あるいはもし釣用品を製造しているところなら、MLでその釣の愛好者たちが何を話し合っているかを見てみる。顧客の市場調査をするための質問がある場合も率先して参加してみる。オンライン上で自分たちの趣味を話し合うような人々は、喜んで答えてくれるものである。
(f) 新製品開発やニューアイディア創出の手段として(ML&MNL)
ML方式による
新しい製品の開発やアイディアの取り込みにも従来からあるグループディスカッションやインタビューと同様の手法としてMLはその力を発揮する。
これには特にインターネット間連を始めとするソフトウェア関連にその利用の価値が高い。
あるソフトウェアを開発するにあたって、利用できる程度のものに仕上がった時点でβ版としてそのソフトをFTPやWWWなどを通じて市場に出す。そこで、そのβ版ユーザーを募りMLを開設し、その評価版に対する意見や感想、付加して欲しい機能、削除して欲しい機能やバグレポートなどを直接自社宛ではなくML上に流してもらう。こうすることにより、より短期間で且、効率よく製品の開発並びに制作を進行できる。
メリット:
同様の質問事項に対する回答はMLへ1回流せば事が足りる
潜在的な購入者が望める
一般ユーザーの声を反映できるためより柔軟な製品の完成が期待できる
オープンな姿勢が信頼感を高める
自社内だけでは生まれないような新しいアイディアを期待できる
バグを早期発見できる
ML及びNL併用方式(MNL)による
ML利用の仕方の形式で従来のものとは変則的なもので、“少⇔多”というものがある。これはMLとNLとを融合させた形式のもので、リストの中にグループが2つありML形式のグループをAとし、NL形式のグループをBとする。Aグループに属する登録者はリスト内にメールを発信することが出来るが、Bグループに属する登録者は受信できるのみで発信が出来ない(すなわち発信許可がない)。Aグループの登録者は通常のMLのように利用できるが、Bグループの登録者はAグループで飛び交っているメールをただ単に傍観者のように眺めている形になる。

この種のリスト形式は例えば新製品の開発に際して通常の進行やプロセスは社内で進めるが必要に応じて消費者や関係各者の意見を生の声として採り入れ、且、商品にタイムリーに反映させるという目的に適っている。
ある衣料デザイン製造会社で10代後半から20代前半の女性をターゲットとしたバッグを新たにデザインして製造販売したいと計画しているとする。この会社が東京、大阪及びニューヨークにオフィスがあるとして、新製品について本社の東京で、ある程度のプロジェクションをまとめ、具体的なニードに適ったデザインについてのディスカッションを日々、3地点で電子メールを利用してML形式にして関係者全員に配信されるようにして意見を交換しているとする。この利用の仕方は確かに従来に比べると時間的にも費用的にもまた、スペース的にも効率の良いビジネスコーディネートであるが、全くの社内の殻にこもったものとなっている。もし、これらのやり取りを社外の例えばパリにいるデザイン関係の人が知って、今パリでとても流行っているのはこういうものだというような意見が分かったり、ターゲットにしている世代の人が知って、自分たちは実はこの様なものに興味があるとか、議論されているこの点については興味がないとかの意見を聞けることが出来たら、実にマーケットに適った製品を開発できる可能性が高まる。
この場合これらBグループに属する人たちはML内に投稿する権限がないのでこれらの意見をリスト管理者に直接するように予めルールを設ける。
メリット:
関係する部外者(Bグループ)の意見を採り入れられる
メールの中に部外者が入らないため関係者(Aグループ)のみで議論を進められる
部外者が商品開発を垣間見ることが出来るのでポテンシャルカスタマーとしての位置付けを高められる
オープンな商品開発をしているということでその会社自体の好感度が高まる
(g) セールスプロモーションツール(NL)
希 望商品を予め登録しておく
以下簡単な具体例を設定して説明する。
リスト登録者としてU-1、U-2、U-3、対象商品群として、A、B、C、Dがあるとする。
それぞれの人たちの希望商品を予め聞いておいて、それに関する情報を欲しがっているとする。
その商品群を仮にパソコンソフトとし、それぞれ以下のような個別商品群を構成しているとする。
ビジネスアプリケーション
グラフィックアプリケーション
インターネット間連ツール
ユーティリティソフト
|
A |
B |
C |
D |
U-1 |
○ |
|
○ |
|
U-2 |
○ |
○ |
|
○ |
U-3 |
|
○ |
○ |
|
それぞれの関心のある商品とユーザーの関係が上記マトリックスの通りとすると、それぞれの商品へのMLへの登録ユーザーが決定する。
ML-A: U-1, U-2
ML-B: U-2, U-3
ML-C: U-1, U-3
ML-D: U-2
実務上は商品の品目種の数やユーザーの数など業種や業態によって様々であるが、基本的なコンセプトとしてはこの様になる。この様にすれば各商品や新製品などが出る際に登録ユーザーに情報を即座にアップデートできる。
顧客のデータを入手し、適合するものを選択してメールする
予め商品そのものを決めておかず、様々な商品群の中から各ユーザーと登録データに基づいた嗜好にあったものの情報を随時アップデートするというもので、これは予め登録ユーザーのデータを入手できるもので登録項目を様々な角度や切り口から分類することによりOne-To-OneメソッドのDBMツールとして活用できる。
これは例えば、不動産業、中古車物件、就職情報/斡旋、ショッピングモールなどに応用できる。
登録項目は後々に活用できるものを想定して吟味して設定する。
ここで大切なのは、全ての事項を必須項目とはせずに不可欠な項目を必須項目とし、それ以外は極力入力若しくは記入してもらうという風にすることである。DBMそしてそのサンプルに基づいて何らかの意志決定をするのに大きな意味合いとして、サンプルの絶対数がものを言うからである。記入項目があまりに多かったり、かなりプライベートなことで必須にすると登録希望者は躊躇うことがあるからだ。サンプル数を多く採るために質問事項等の項目はフレキシブルにすべきである。
一般的に登録する際に利用する媒体としては以下のものがある。
WWW
メール
ファックス
電話
この内WWWとメールが今後その殆どを占めるようになる。特にWWW形式に登録形態を採ると、データベースの加工を全てシステム側で処理することも可能で人件費の削減、レント料の低減にも繋がり、ひいては後述するようなホワイトカラーの生産性向上にも繋がる。
例えば、中古車情報リストの設定項目を例に挙げる。
プライベートデータ: 年齢、性別、居住地域、家族構成、職業、車所有、年収レンジ
プロダクトデータ: 車種、メーカー、年式、価格帯、サイズ、色、装備、等
これらの項目はそれぞれかなり厳密に特定できるものである。ここで、ユーザーサイドに立ったマーケティングのサンプル獲得のポイントとして以下の2項目をそれぞれ加えておくことが大切なキーとなる。
Do not care.
Not applicable.
すなわち“別にどうでも良い”、“特に拘らない”、“気にしない”という項目と、“絶対に譲れない”という項目だ。例えば、ある人は、色は“気にしない、どの色でも良い”が、年式として“1995年より新しいものに限る”と言うことがあるかもしれない。こうすことによりかなり提供する情報を絞ることが出来、受信者側もより良い情報を受信できる可能性が高い。
ここで大事なのは上記によって得られた情報によりただ単にそれぞれの登録者に新しい情報を垂れ流しにするということだけではない。
One-To-OneメソッドのDBMのツールとして活用すると言うことにある。すなわち例えばサンプル集を集計して以下のような側面が見られたとする。
関東地方に住んでいる30代の人はその性別に関わらず車種やメーカーにはあまり拘らないが年式の古い車や白色系統の車は好まない傾向が強い。
地域に関わらず年輩の方は色や装備よりもサイズに拘っているようだ。
また、サンプル構造として、得られるデータ全体は
20〜40代の男性が多い。
となったとすると、これらのデータに基づいて採るべき次なるステップとして各オンラインで繋がれた中古車ディーラーに要求する情報がより的確に絞られる。
(h) ビジネスアライアンス・異業種交流として(ML)
ビジネス面で有効になるのものとして電脳異業種交流がある。同じ地域に住んでいる仲間同士でさえ、実際に合うのは月1回程度あるかどうかというのが実状である。MLなら場所を問わず、毎日のように情報交換ができる。
他企業との共同作業のツールとしてMLを活用できる。一般に例えば資材などの仕入先は取引先として固定的か若しくは半固定的なものがビジネス慣行として多いが、それが最適かまたは最安値かは必ずしもそうでないことが多い。それならば、関係者を募りMLを作成して情報を広く交わせばより有用なものが、通常ならば思いもしないかまたは全く縁の無いような所から得られる可能性も十分あり得る。またその様な資材調達の話だけでなく、その他の関連する有用な情報なども入手できる。
また、異業種交流会形式のMLでは同趣旨に賛同し、集まった仲間達が意見交換をし情報を集め、幅広い視野からビジネスの可能性を話し合い、MLと実際に合って話し合う会合とを上手に使い分ける。MLで事前にいろんなことを話し合っておけるので、実際の交流会では深い内容を討議できる。補完関係にある業種同士で新たなビジネスへの進展の可能性も十分起こりうる。
ビジネスアライアンスや異業種交流にとってMLは有意義なツールである。
アライアンスになり易い形態のもの
資材調達
アート作品(絵画、音楽)
翻訳
(i) ユーザーサポートとして(NL)
自社製品に対する既存のユーザーへのサポートとしてサービスの一環でNLが大きな力を発揮できる。
従来は既存の顧客に対して、新製品のお知らせ、関連製品のお知らせ、バージョンアップのお知らせ、会社や事業内容のお知らせ、電話や住所及び担当者の変更のお知らせなどは、DMに代表される郵便でその業務を行っていたのが普通である。NLにすればそれらの通達は全てメールで行うことが出来る。一度顧客のリストを製品別、サービス別など用途に合わせたジャンルやグループなどに分類しておけば次からは何か関連する変更やお知らせなどが生じた際にその都度NLにメールをすれば事が足りる。そのメールにWWWのアドレスを記載しておけば、新製品の写真や動画、音声などをWWWを通じてユーザーは見ることが出来る。
管理者アドレスを付すことにより、クレームや注文などもリストの登録者から電子メールを通じて得ることが出来る。
(j) ニューズリリース(プレスリリース)として(NL)
自社のニューズリリースやプレスリリースはWWWに掲載すると共に、NLを作成しNLにも配信する。
WWW上のニューズリリースや新聞でのプレスリリースは対象者が自分でアクションを起こさなければその内容を読んだかどうかが分からないという企業側のデメリットと共に、知らせて欲しいと思う人も読み逃してしまうという受け手側のデメリットもある。
NLならば、予め登録してある人々に作成した文書をリストに1回送信するだけで全ての登録者へその内容が配信されるのでとても効率的で、且、受信者はメールを少なくともサブジェクトは読むので、自社からのNLが配信されたことが分かり、新しいニューズがあったかとが即座に知らせることが出来る。
掲載項目としては例えば以下のようなものがある。
新製品のお知らせ
バージョン変更やバージョンアップのお知らせ
会社組織、住所や人事などの変更のお知らせ
メリット:
手間や費用が掛からない
読まれる可能性が高い
読む相手(登録者/受信者)を把握できている
(k) ユーザーコミュニケーションツール(ML)
自社製品やサービスなどのお客様やユーザー同士のコミュニケーションツールとしてのMLの活用がある。これには大きく2つ、ユーザーのみの参加と開発者やサポート係など、当事者の会社側からの参加も含めたものとがある。
例えば、“システム手帳”のMLを想定する。
MLに登録されているユーザー間で様々なシステム手帳の利用の仕方やその他ニーズなどがML上でディスカッションされる。そこに参加している登録者はそれを読み、今まで思いつかなかった利用の仕方などが分かったり、また、外国に居るユーザーが、この様な商品がこちらではあるなどの紹介があったりする。そのMLに開発者やサポート担当者が参加することにより、通常1年毎に更新される新しい来年度用のシステム手帳の具体的なアイディアのヒントが得られるわけである。
メリット:
ユーザーの声をタイムリーに且低コストにて聞ける
新製品開発の糸口となる
読む相手(登録者/受信者)を把握できている
会社に対する信頼感が増す
同様の質問事項に対する回答はMLへ1回流せば事が足りる
(l) ホワイトカラーの生産性向上のツールとして
多くの企業が抱えている長年のテーマで問題点の代表的なものの1つが“ホワイトカラーの生産性の向上”だ。その問題点解決の1つの糸口若しくは手法としてMLやNLの活用が考えられる。
ホワイトカラーの生産性の低さの要因の内、電子メールに関連するものとしては例えば以下のようなもの掲げられる。
ワークグループの欠如
情報共有化の欠如
責任所在認知の欠如
稟議によるタイムラグの発生
共同作業によりプロジェクトを進行させる場合、従来はミーティングを介して行い、そのミーティングのための準備をしたり、ミーティングに全時間を出席する必要がない者でも、始めから最後まで出席したりとかなりロスが多い場合がしばしばある。ワークグループにMLを利用することによりかなりの部分で共同作業として進められ、本当に必要があるときにのみ物理的な会議の場を持つという形式にすることにより、時間を有効に使え効率の良いプロジェクションを計ることが可能となる。
MLを活用し、関係者には同時に同様の内容のメールを配信するように設定するようにすれば、常に最新の情報をそれぞれの関与している社員が得られるようになる。
組織が大きくなればなるほど特に日本の場合はそれぞれの役割分担に応じた責任の所在が不明瞭になる。MLによりプロジェクトの進行や間接部門の処理進行を計ることにより電子的に記録が留保されるので自ずと責任の所在が関係者全てに明瞭化される。
稟議書と呼ばれるもの全てを電子化し、電子稟議書としてデジタルデータ化し、全ての稟議書は電子署名を施して回覧することにより、日本特有の稟議システムをかなり合理化することが可能となる。
(m) MLの業務活用事例
製品開発
電子メールソフト開発会社は、β版の評価を利用者に聞くためMLを利用している。
「開発者の見方は狭くなりがち。いらないと思った機能もMLに問うと意外に要望が多く、慌てて加えたこともある」という場合もある。
不具合がいち早く見つかるメリットもある。MLの性格上、1ユーザーが発見した欠陥が広く知れ渡ってしまうことにもなるが、そうしたオープンな姿勢が逆に信頼感を醸成することとなる。
大手パソコンメーカーは同社製ノートパソコンの海外モデルを国内向けに直販する部門でMLの活用を始めた。
担当者は「1⇔1でメールをやり取りすると同じような質問がきて大変。MLなら1人に答えれば、全員に答えたことになる。逆に、返事が遅れると、別のユーザーが代わって答えてくれることも多い」と、その長所を表現する。
同社の場合、購入を検討している人も自由に参加できるようにしているのも特徴となっている。その副次的効果としてMLを通じて利用者の声を聞いて、購入したというケースも少なくないという。
こうして商品の購入者のMLを作り、ユーザー同士で相互に情報交換してもらい、商品開発やサポートに役立てている。
ビジネスアライアンス
あるメーカーの企画担当では、異業種によるMLで共同事業を実際に行っている。MLの名称は「資材フォーラム」。発起人は3人でいずれも企業の資材担当者。それぞれの会社で資材調達のホームページを設けたが、反応は思わしくなかった。このため、一緒に研究しようとMLを開くことになった。1人は名古屋在住、残る2人は東京だがMLなら距離を超えて話し合いができる。
その後、メンバーは続々と集まり、現在は企業人から大学関係者、コンサルタントなど全国80社・団体にも上る。海外在住者もいる。1日に交わされるメールは平均数通、多いときは数10通にもなる。
「いろんな人がいるので、資材調達の話だけでなく、米国の通信技術の情報なども入手できる。近未来から遠い未来までさまざまな角度で将来を見通せる」と発起人の1人は述べる。
電脳異業種交流会「インターネットビジネスフォーラム」は企業のインターネット担当者や若手起業家など約100人が会員で、インターネットに関連するさまざまなMLの情報を集め、幅広い視野からインターネットビジネスの可能性を話し合う場である。
インターネットの社会的影響を考えるMLやホームページの制作手法を討議するMLなど、インターネット関連のMLは複数ある。しかし、それぞれ話し合う内容やメンバーが微妙に異なるため発足に至った。
会員は同趣旨に賛同し、各MLで積極的に発言する人ばかり。発起人の1人は、「面白いテーマを投げかけるとみんなピラニアのように食い付いてくる。アイデア、発想の宝庫です」と述べる。
ある異業種交流会は、MLと実際に合って話し合う会合とを上手に使い分ける。事務局を務める会社社長は、「MLで事前にいろんなことを話し合っておけるので、実際の交流会ではより深い内容を討議できる」と説明する。
ビジネスアライアンスや異業種交流にとってMLは欠かせないツールとなってきている。
自治体の場合
ある地方自治体は同市などが出資する第3セクターの情報処理会社と共に、在住者、出身者を対象にしたMLのサービスを提供している。インターネット上に地域に関する意見交換の場を設けるもので、地域に関する意見交換の場を設けることで、地域内の情報交流を促すのに役立てている。
ここでのMLは登録者全員にメールを出す「回覧板」としての位置付けで、ここで情報や意見をやり取りすると、参加者全員が情報を共有できる。このMLの機能の1つとして電子メールアドレス帳というのを設けている。これは登録者の住所、氏名、出身地などから電子メールのアドレスを検索できるシステムである。ホームページ上で公開し、そこから相手にメールを出す事を可能にしている。
また、ある自治体では、職員が中心になって議論を交わすMLを開設し、インターネット時代での自治体のあり方や実際に直面している職場での悩みやぼやきなど、様々なテーマが取り上げられている。
そこの職員だけでなく、他の地方自治体の職員や民間企業のビジネスマンなども参加している。各地で起きている同様の悩みが報告され、これを解決するためのアイデアが練られる。集まっているメンバーには底から突き上げるようなエネルギーが感じられている。
(n) WWWと併せて活用する
特にWWWに関する技術進歩は激しいが、メーラーの技術もWWWに関連して発展・進歩してきている。最近のメーラはそのメール本文中にinfo@y7.comの様なアドレスやhttp://y7.com/のようなURLが記載されているとその箇所をクリックするだけで新規メーラーが立ち上がったり、ブラウザーがサイトを開いたりするようになっている。
この特性も併せて利用し、MLのメールにシグネチャーを挿入し、そこにコンタクト先のメールアドレスや、関連するURLを記入することによりML受信者は簡便にWWWサイトを見ることが出来る。そしてそのリンク先の頁にはMLの主旨に関連し且メールでは表現できない事項をマルチメディアを駆使したものも踏まえて情報を提供することにより、より効果的なものとなる。
例えば、新製品のお知らせをNL形式にて購読者に通知し、その中にURLを記載しそこへジャンプすると様々な写真入りの頁を閲覧することが出来るようにする。
また、アンケートを採る場合など、MLで収集する場合は、情報が全てのメンバーに分かってしまうし、直接管理者へメールしてもらうにしろ後でデータの入力の必要性の手間が生じる。そこで、MLではアンケートの主旨とお願い並びにURLだけを記載し、実際の記入はWWW上で行うようにすれば、WWWを通じて入手できるデータはシステム上ではデータベースへと直結できるので人的な手間は全く必要ではなくなる。
活用例:
アンケート
商品紹介
詳細な説明
(o) FTPと併せて活用する
支店が幾つかあったり、営業品目が多く、且その内容や受発注関連の様式などが頻繁にアップデートする場合など、アップデート情報をML若しくはNLにて情報を提供し、それぞれのメンバー(セールスマンなどの従業員)がその時々の用途にあったものを自社内に設置してあるFTPサイトから必要なものを取り出すようにすれば、常に最新のものを効率よく入手することが出来るし、提供サイドもFTPへのアップロードとメールの配信だけで済むので、時間と手間の効率が抜群に良くなる。もちろんこうした利用の際にはパスワードの入力のFTPに設定したりファイヤーウォールを設置する必要が講じる。
また、ソフトウェア関連の企業などは、バグ修正版や最新バージョンへのアップデートをNLで登録者へ通知し、ダウンロードは各自登録者が自分でFTPサイトから行うようにすれば、ユーザーも最新情報を即座に入手できるし、会社側としても手間が掛からない。
活用例:
営業
ダウンロードサービス
テンプレート
データ
(p) News
Netと併せて利用する
News NetとMLは似た性質のものを持っている。1つのテーマについてNews Netはパブリック性が強く、MLはプライベート性が強い。
News Netは基本的には誰でもいつでも参加することが出来る。もちろん興味のある分野だけに参加したり立ち寄ったりする場合が大方だろうが、とにかく参加者は概して多い。あるテーマのMLでもそれと同じテーマがNews Netにも有ることもある。MLの場合はその参加者が多いとは言っても登録者のみなのでその数は限られている。そこでより広くデータの収集やメンバーの獲得にNews Netが役に立つ。
例えば、北欧に於けるカメラのマーケタビリティについて知りたいとする。今加入しているカメラのML内でその情報が得られない場合、カメラに関連するNews Netに問いかけてみると何らかのリスポンスを得られる可能性が高い。News Netはその性質上公共性が高いため、インターネットを利用していて、且カメラに興味のある人でNews Netにアクセスする人ならばカメラ関連のNews Netにアクセスする可能性が高い。MLの場合は趣味指向が強くなるという点と、どこにどのMLがあるのかが未だわかりにくいという点があり、必ずしも入りたい人が入りたいところに、入って欲しい人が入ってくれるようにとはなっていないのが現状である。その為、共通の目的項目のある場合にはNews Netは有効手段となる。また、例えばそのカメラのNews Netの箇所に、自分の参加しているMLを紹介して仲間を募るというのもより適切な仲間を効率よく集められるという手段として有効である。
活用例:
関連情報の収集
仲間募集
リサーチ